実話「母という呪縛 娘という牢獄・齊藤綾著」を読んで//娘の母親殺しのいたたまれなさに涙腺緩む。
著者は元共同通信社記者、この本の内容は記者在籍当時の取材したことを元にして書かれている実話です

なお加害者、被害者名は著者本人が匿名にしていますのでそのまま匿名で書いていきます
【あらすじ】
2018年3月10日午後滋賀県守山市野洲川河川敷にほとんど土に覆われた動物のような死体が見つかった
発見者からの通報で警察は実地検分し、動物の死体だと思って市役所に撤去するよう連絡をする
駆けつけた職員は人間らしき様子に再び警察に連絡を入れ捜査が始まった
両手足胴部が無く胴体ばかりの状況
死後2.3か月経過
DNA鑑定の結果被害者は近所に住む高崎妙子と判明
妙子は娘あかりと2人で同居しているとのこと
警察はあかりを呼んで事情を聞くと、母は自分が目を離している時に自殺したとのこと
警察、検察の事情聴取によると、その日あかりは目指していた助産師学校が不合格になったことをキツく叱られ、妙子は「何もかにも嫌になった」と自分で包丁を持ちだし自分の首を刺すマネをした
娘はどうせ自殺する振りをしているだけだろうと思い目を離したとたんに動脈を切り自殺した
自殺が見つかると面倒だと思い翌日ホームセンターにノコギリなどを買い両手足を切断しゴミとして処分、胴体は処理できず近くの河川敷に投棄し腐葉土をかぶせた
警察はあかりによる殺人の疑いを抱きながらも確たる証拠が見当たらないため、死体毀損、死体遺棄の罪で送検
裁判員裁判で懲役15年
しかし、あかりは上訴しは第二審で別居していた父親、弁護士、第一審の裁判官の言葉に心を動かされたとして殺人を自供
母親から9年もの間、あかりを支配下に置き助産師になるという目標で、四六時受験勉強を強要したとうこと
2審では懲役10年に減刑された

振り返ってあかりが第2審で供述した高校卒業時からの話をします
あかりはキリスト教系の高校を卒業後ブラックジャックのような医師になりたいという願望はあった
しかし母娘とも偏差値から医大はむりと観念
母親はあかりが以前口に出していた助産師になるべきと強要
入試用模試の結果悪いと「詰問」「罵倒」「命令」「蒸し返し」「脅迫」の繰り返し
(ひどすぎる言葉でここに書くのもはばかれるので具体的には書きません)
一日のうち少しでも気持ちの休まる時間は無かった
頼りにしたい父親だが父も毎日のように罵詈雑言を浴び仕事を理由に別居し、預金通帳を管理している母親が父に生活費として月3万円だけ渡しているありさま
娘は2014年医大の看護学科に合格した
ただそれは助産師になる道ではなかった
その後しばらくは普通の母娘の関係で楽しく過ごせたが、ある事件を起こしたときから、助産師になる話を蒸し返される
ただ、看護師学科の試験成績が徐々に低下し、4回生のときにはDランク
到底助産師学校に入れる成績ではない
この時娘は32歳
2018年1月19日夜、この成績について、こっぴどく叱られた娘は母が寝静まった頃を見計らって台所の包丁で殺した
その後母の知り合いから連絡があっても留守と言い、普段通りに生活をしていた
【コメント】
第2審裁判で娘が母親殺人を告白するのですが、法廷で弁護士と質問をやりとりする場面を聞いているといたたまれなくなりました
ワタシはこの状況の場合どうしたら解決できるか数日考えたんですがいあまり良い案は浮かびません
警察は暴力事件ではないので母娘関係には口出しできません
一案として、父親を含め3者で家庭裁判所で調停してはどうだったでしょうか
夫婦は離婚し、娘は父親と同居する
母親は納得しないでしょうけど、母の娘への罵詈雑言がLINEの通話履歴がありますのでこれを根拠に母娘関係に破綻を来しているという理由を主張してです
実際問題としてその当事者になるとそこまで考えが及びません
そして成人した同士の家庭内事情になると行政も介入を控えてしまいます
一旦呪縛されたら某新興宗教と同様考えを解くことは難しくなるんでしょう
やっぱりこういった家庭問題を専門に考えてくれる弁護士を探すことが最善かなぁ
ただ一つ残念だったことは犯行後警察に自首しなかったこと
はじめから自分の罪を認めて償って欲しかった
普段テレビ、新聞なども見ていないのでそのような考えに及ぼなかったのか?
隠し通せると思ったのか?
これを本人に確認して欲しいと思いました
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イラストはフリー素材をお借りしています
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